つぶsと愉快な仲間たち Member ListProfile : Mariel
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Mariel さんの日記。(5件表示)

06/30 18:48(open)06/30 20:17(110)
カッツェナージェはご機嫌だった。

レベリングしようと希望を出したら、即誘われたのだ。
男ばかりのPTだったが、感じが良く好感を持てた。
意気揚揚と狩場に向かい、思った以上にどんどんと経験値を稼いでいった。

ますます、彼女の機嫌は良くなった。



「じゃ、ちょっと休憩しようか。」

リーダーの忍者が、皆にそう言った。
だが、カッツェナージェと黒魔のMPは残っていた。

「あの、MPは大丈夫ですが?」

忍者は『避ける盾役』と言われるだけあって、ケアルを余り必要としない。
加えて、忍狩侍戦黒赤と言う編成だった事もあり、リフレシュも楽に回せた。
だからこそ、ここで休憩を取る意味が彼女にはわからなかった。

「いや、休憩と言うのは建前で・・・赤さんにお願いがあるんだ。」

「なんでしょうか?」

真面目な顔と、この物言いにカッツェナージェも緊張した。
周りのメンバーは、リーダーを応援するかのような視線を送っていたが、彼女は気づかない。

「お、俺の事を・・・。」

「・・・・・・・。」

「お、お、首領様と呼んで、ヘイストをくれないか!」

「はい?」

『[よくやった!]』

リーダーの発言に、彼女を除くメンバーが定型文辞書で褒め称えた。

「何故、でしょう?」

思わずよろめきながら、カッツェナージェは聞き返した。
正直、理解できないと思いながら。

「そのさ、赤さんの喋り方がさ、『出来る秘書』って感じがしててさ。
 俺って忍者じゃん?だから『首領様』とかって呼んで欲しくなったんだ!!」

「・・・・・・・・。」

別に彼らの為にこんな話し方になったわけではない。
彼女はごく一部を除き、誰にでもこういう話し方をするのだ。

「それに、俺だけじゃないんだ!」

リーダーの発言に、他のメンバーも希望を口にした。

狩「俺は呼び捨てで!」

戦「お兄様って呼んでくれ!」

侍「殿って呼んで欲しい!」

黒「ご主人様でwww」

全員の目が、これ以上無いほどに輝いていた。
今までのご機嫌だった気分は、一気に最悪な所まで落ちてくのがわかる。
しかし、彼女は経験値が欲しかった。

「・・・わかりました。」

『ありがとう!!』

こうして、彼らにとって最高の・彼女にとって最低のPTが始まった。

「首領様にヘイスト差し上げます!」

「狩人にプロ&シェル!」

「お兄様にヘイストあげますわ♪」

「殿にリジェネを・・・。」

「ご主人様にリフレシュいたします。」

『うはwwwおkwwwww』

こうして、これでもかと大量の経験値を稼ぎ出して、PTは解散した。

「赤さん、また組みましょう!」

『またねー!』

その言葉には返事せず、カッツェナージェはレンタルハウスへと入った。
そして、着の身着のままでベッドに倒れこんだ。

「つ、疲れた・・・。」

肉体的と言うより、精神的に疲れきった彼女は、泥のように眠り込んだ。


『ピピピピピピ・・・!』

(五月蝿いな・・・)

tellの呼び出し音なのはわかっていた。
気だるさを感じながら、かけてきた相手を確認する。

「なんだ、爺か。」

「何だとはなんじゃ、皆集まってるぞい!」

「あぁ、わかったよ・・・。」

LSのメンバーである、ハルトマン・おおつぶ・こつぶ・Cbsfのいるところへ向かう。
カッツェナージェは、足元がおぼつかないまま礼をする。

「大丈夫か、お主?」

「爺より大丈夫だよ。」

「くぁー、腹立たしいやつだのぅ。」

「それでは行きましょう。」

1人むくれるハルトマンを尻目に、一行は狩場へと向かった。
そして・・・

「・・・・・・・。」

染み付いた行動と言うのだろうか、目が虚ろながらも攻撃を当てていく。
いつも以上に口数が少ないのを気にしながらも、一行は何も言わずにいた。
そんな時だった。

「サイドワインダー行きます。」

カッツェナージェが放った矢の当たり所が良かったのか、敵に大ダメージを与えた。
その為に敵のターゲットが彼女に移る。
攻撃を受けるその瞬間、彼女は『つい』口にしてしまった。

「ご主人様、かばってください!」

『!?』

ありえない発言に、一行の動きが止まり、カッツェナージェは戦闘不能になった。
何とか敵を撃退したものの、ハルトマンの意地悪な笑みが目に入る。

「ほっほ〜、ワシがご主人様かw」

「くっ・・・。」

ここで否定しないのが彼女らしい。
口にしてしまったのは事実だからである。

「これからはワシを敬わんといかんのう、猫スケw」

「じっちゃん、調子に乗りすぎっすよ?」

「そうッス、後で抉られても知らないッスよ、メインは猫さんのが上ッスからw」

おおつぶとCbsfが諌めるように言った。
こつぶが参加しないのは、カッツェナージェにレイズ2の詠唱をしているからだ。
詠唱が終わり、彼女の体が光に包まれてから、立ち上がった。

「さて、もっかい『ご主人様』と呼んでもらおうかのぅ?」

「・・・(ぼそ)」

「あん?聞こえないぞ〜?w」

「調子に乗るな!」

カッツェナージェの目にサイトの形が浮かぶ、狙い撃ちのアビリティだ。
さらに、両手拳に稲光のようなものが迸る、乱れ撃ち。

「ちょ、ちょっと、カッツェナージェさん?」

ハルトマンは汗を浮かべて後ずさる。
おおつぶ・Cbsfは自業自得と言わんばかりに見ているだけ、
こつぶは使いすぎたMPを回復していた。

「覚悟はいいか?」

「[えーっと…]」

力いっぱい引き絞られた弓から矢が放たれる。
ハルトマンは直撃だけを避ける為に、大きな盾を前面に出して構えた。
おかげで、それほどの大ダメージじゃなかった。
だが、カッツェナージェを見た瞬間に更に汗が噴出す。

「わ、わかった、ワシが悪かった!」

「落ちろ!」

目が鷹のように細くなったと思った瞬間、ハルトマンの盾を破壊した。
あまりの出来事に目を奪われてる中、カッツェナージェはデジョンカジェルで1人帰った。

(最悪な気分だ・・・。)

tellの電源を切ると、頭までシーツをかぶって朝まで眠った。



後日、ハルトマンがレンタルハウスに帰ると、モグが荷物を持っていた。

「ご主人様、カッツェナージェさんからお荷物クポ。」

「何じゃ?」

受け取りって包装を破くと、この間壊された盾と手紙が入っていた。
中を破らないように開けると、手紙に目を通す。

「ふん、お互い様じゃしな・・・。」

手紙を丸めてくずかごに入れると、その盾を装備した。
どこか笑みを浮かべているように見えるのは、モグの気のせいかもしれなかった。

『爺へ

 盾弁償する、これでまた盾役やってくれ。
 早々にボケられても、こっちが困るからね。

                カッツェナージェ』







<後書き>

カッツェナージェの受難編、とか言ってみたり?
猫さんのしっかりした喋り方って、こういうのが似合うようなw
ただ丁寧なだけなのかもだけど、周りが普通にくだけて話すからかもねぇ。
Kotsubu > 面白い!!なんてーか、昨日のぱーちー中思い出してたのは内緒♪( ̄d ̄) (07/01 10:37)
Mariel > 昨日何があったんだろ・・・w、最近そっち顔出さなくてゴメンね(ノД`) (07/01 23:27)

名前
06/26 08:23(open)06/26 09:41(109)
注・ここのでのハル爺の孫はつぶつぶだけです。
 ・猫さんはるしえるんと結婚してません。
 ・実在の人物ですが、性格や言動が違う場合もあります。



「ふわぁぁぁ〜・・・。」

午前7時。
ハルトマンはベッドから体を起こすと、机に置いてある写真に挨拶をする。

「おはよう。」

そこに写っているのは、彼の亡き妻。
亡くなって、一人身となった今でも愛しているからだろう、挨拶は欠かさない。
挨拶を終えたハルトマンは、部屋を出て洗面所へと向かった。
眠気を完全に飛ばすには、洗顔が一番だからだ。
洗面所のドアを開ける。

「「え?」」

自分と孫しか住んでいないはずの家で、2つの声。
声の主は裸で、今まさに下着を身に着けようとしているところだった。
逆立つ尻尾、少し濃い目の陰毛、小ぶりながら形の綺麗な胸が目に入る。
そして・・・

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」

裸のミスラの叫び声が、辺り一面に響いた。

「す、す、す、すまん!!!」

慌てて洗面所を出て、ドアを閉める。
叫び声で飛び起きたのか、2人の孫が現れた。

「ど、ど、どうしたですか?じいちゃん。」

「大きな悲鳴が聞こえたっす!」

「わ、ワシにもわからんのじゃよ、こつぶ、おおつぶ。」

ハルトマンはしゃがみこむと、がっくりと頭を下げた。
2人の孫が、頭をぽんぽんと叩いた。
孫の手の感触を慰めに感じてると、洗面所のドアが開いた。

「・・・・・・・。」

部屋衣を身につけたミスラは、3人が知ってる人物だった。

「猫スケ!?」

「「猫さん、おはようです(っす)。」」

「おはようございます、おおつぶさん、こつぶさん。」

猫さんこと、カッツェナージェはハルトマンを無視して挨拶を返した。

「おはよう、覗き魔爺。」

否、ハルトマンが一番嫌がるタイミング&名前で挨拶をしてきた。
何故なら、このタイミングならおおつぶ・こつぶにも、
自分達の挨拶に混じらず聞こえるからだ。

「「覗き魔!?」」

「ち、ち、違うんじゃよ、誤解なんじゃよ!」

「もう、お嫁に行けない・・・。」

ハルトマンには泣き真似とわかるのだが、孫にはわからないらしい。

「猫さん可哀相・・・。」

「じっちゃん、酷いっす。」

カッツェナージェを庇う様な立ち位置につくと、非難の声をあげる。
命の次に大事にしている孫達からの非難に、ハルトマンは思い切り傷ついた。

(ワシが悪者なのか・・・猫スケが不法侵入したと言うのに・・・。)

ハルトマンは少し涙目になりながら、口を開いた。

「ちょ〜っと待てぇい!」

「何さ?覗き魔爺。」

「確かに、見たくもなかったがお前の裸を見てしまった、それは申し訳ない!」

ハルトマンの言葉に青筋を立てるカッツェナージェ。
しかし、それに気づかずに言葉を続ける。

「だがしかぁ〜し!勝手に人の家の風呂に入っておるのはどういう事じゃ?!」

『・・・・・・・・。』

カッツェナージェと孫達が、互いに顔を見回す。
そして、先ほどよりも可哀相な者を見る目の孫と、
信じられない者を見る目のカッツェナージェがハルトマンを見つめた。

「な、なんじゃ・・・?」

「じっちゃん。」

「なんじゃ?こつぶ。」

「猫さんがお風呂に入りに来るって、昨日の夜に言ったですよ?」

「!?」

思わぬ展開に、ハルトマンはたじろいだ。
それも、味方になるはずだった孫からの言葉が、さらに効果的だった。

「わ、ワシ、聞いてないよ?」

「おいらが説明するっす。」

そして、おおつぶが語り始めた・・・。



昨夜

コンコン、とノックの音が聞こえた。
おおつぶ・こつぶが見に行くと、カッツェナージェが何かを持って立っていた。

「こんばんは、おおつぶさん・こつぶさん。」

「「こんばんは(っす)、猫さん。」」

「爺いる?」

「いるですよ、入ってください。」

「はい、お邪魔しますね。」

リビングに3人が入ってくると、そこにはハルトマンが本を読んでいた。
本から目を離し、孫たちに見ると、そこにいるカッツェナージェを見て顔が歪んだ。

「こんな時間に何の用じゃ、猫スケ。」

「ちょっと頼みがあってね、いいかい?」

「お金以外なら、話だけは聞いてやるぞい。」

「金の用立てじゃ、ここには来ないよ。」

「ふん!で、用はなんじゃ?」

カッツケナージェが持っていた何かをテーブルに置いた。

「これから、手伝いで出かけるんだけど、ここの家の鍵を貸してくれないか?」

「出かけるのは勝手じゃが、何で家の鍵がいるんじゃ?」

「私の家の風呂釜が壊れててね、シャワーを使わせて欲しいんだ。
 帰りが早朝になりそうだから、起こすのも悪いかと思ってね。」

「ふむ、帰る際に鍵を家の中に戻しておく、と言う算段か?」

「あぁ、知り合いの誼でお願いできないか?
 もちろん、ただとは言わない。」

そう言って、テーブルに置いた何かの包みを解いた。
その中身を見た瞬間、ハルトマンの顔が喜び一色になった。

「わかった!貸してやろう。」

「流石は銘酒・首長大王、爺も一発で落ちるか・・・。」

カッツェナージェに鍵を渡し、代わりに酒を受け取る。
これ以上無い笑顔でラベルを見つめるハルトマンに、カッツェナージェの呟きは聞こえない。

「7時くらいには借りに来ると思うから。」

「おぅおぅ、勝手入っていけ。」

ハルトマンはおおつぶ・こつぶにコップとツマミの用意をさせると、酒を飲み始めた。

「くぁぁぁ!これが首長大王か、身に沁みる美味さじゃわい!」

1人盛り上がるハルトマンをそのままに、おおつぶ・こつぶがカッツェナージェを見送る。

「頑張ってきてくっさい、猫さん。」

「気をつけてくださいっす、猫さん。」

「ありがとうございます、それでは行ってきます。」

カッツェナージェは2人に手を振ると、夜の闇に消えていった。



「と、こんな感じっす。」

「ワシ、首長大王飲んだの・・・?」

「これでっす。」

こつぶが空き瓶を持ってきて手渡した。
ラベルには首長大王とかかれており、話が事実である事を感じさせた。

「忘れてたのか、ボケ覗き魔爺。」

「あ、う、あう・・・。」

「その後、じっちゃんは一瓶飲みほして寝てしまったっす。」

「おおつぶちゃんと、必死で運んだですよ。」

「な、なんと!?」

孫にも迷惑をかけていた事を知り、思わず膝をついた。
酒に溺れた事・まったく覚えてなかった事・すっかり酒が抜けていた事、
全てがショックだった。

「す、すまんのぅ、皆・・・。」

「おいらはいいっす。」

「こつぶも気にしてないです。」

「おおつぶ、こつぶ・・・。」

涙目で見つめるハルトマンを、2人はぽんぽんと叩いた。
その光景を、1番の被害者のカッツェナージェは黙って見ていた。

「猫スケ、ほんとにすまんかった。」

「爺。」

「何じゃ?」

「しばらくの間、慰謝料として色々付き合ってもらうよ。」

「あ、あぁ、わかったわぃ。」

こうして、一応の決着を迎えた。
おおつぶが腕を揮い、4人で朝食を取った後、カッツェナージェは家路についた。



後日・・・。

「サイドワインダー!」

カッツェナージェの放った矢が、敵にめり込むように刺さる。
その強烈な一撃に、敵のターゲットが移る。

「カッツェナージェさんをかばいますじゃ!」

ハルトマンが前に立って、必死に庇う。
普段なら敵対心の上昇を考えながら行動するカッツェナージェだが、今日は違った。

(くぅ、好き放題しおってからに・・・!)

しかし、強く言えない。
弱みを握られているからだ、一緒にいるおおつぶ・こつぶも黙ってフォローしていた。
普段と違う展開に、一緒に行動しているCbsfが口を開いた。

「ハルじぃ、今日は猫さんに注意しないッスか?w」

「い、いや、たまにはいいかのぅ、と。」

「そうなんです、たまには忙しくさせないとボケちゃいますからね。」

「なるほど、俺も暴れちゃうッスねww」

「は、はは、お手柔らかにのぅ・・・。」

(猫スケーーー!!)

なんて事があったとか、なかったとか・・・。







<後書き>

ハルじぃ酒宴、じゃない、主演の「ハルトマンの受難」完成w
LSでのやり取りを参考にしてみました(´∀`)b

Kotsubu > やばいくらい面白いです。笑ってたらまずい場所にいるのに笑っちゃうですっ!!ヾ(≧▽≦)ノ (06/26 15:23)
Hartmann > うう、なんか酒弱いくせに調子に乗っていい酒呑んで失敗するのなんかそのままじゃ…orz (06/26 20:33)
Mariel > ぬぁ、リアルハル爺はこんな感じなのねw 楽しんでいただけた(?)ようでなにより♪ (06/27 18:30)
Shirokuro > いいお酒飲んで飲まれて飲み込まれて経験ありまっす(〃m〃) でも2日ほど地獄でした・・・ (06/27 21:22)

名前
06/13 13:57(open)06/13 15:29(108)
クピピは見慣れた封筒を見て、しきりに首を捻っていた。

「む〜・・・ですなの。」

見慣れた封筒。
それは、天の塔で使われている物なのだ。
冒険者や要人に使われる事のある物で、そしてそれを宅配に持って行くのはクピピなのだ。
数日前に持っていったのだが、その中に自分宛ては無かった。
それどころか、書記官であるクピピに届いたのは今回が初めてである。

「とりあえず、中を見てみるなの。」

中身を破かない様に、慎重に封を開けていく。
手紙を取り出すと、確かに頭には『クピピ様へ』と書かれていた。

「どれどれなの・・・。」

『クピピ様へ

 いつもお仕事頑張ってくれてありがとう。
 その感謝の気持ちを込めて、貴女をお茶会にお誘いしたいと思います。
 ○月○日の○時に私の部屋まで来て下さい。
 貴女の大好きな『ロランベリー』を使ったお菓子を用意して待っています。

                                   星の神子』

全てを読み終えた時、クピピの手から手紙が落ちた。
そして・・・

「神子様からのお誘いですなのーーーーー!!!!!」

驚きのあまり叫んだのだった。



しばらく硬直してたが、我に返ると手紙を拾って封筒に戻した。
それを机の上に置き、クローゼットを開けた。

「ど、ど、どうするなの?!
 洋服はどうすればいいのなの?!」

片っ端から服を取り出し、ベッドの上に重なっていく。
普段着で行けないと思うのは、相手が国のトップと言う事と『お茶会』と言うのが頭にあった。
自分以外にも客がいるかもしれないのだ、綺麗な格好をしたいと思うのが女性であろう。
クピピもまた、普通の女性と変わらなかった。

「うわぁーん!
 こんな事なら、まとめてロランベリー買い込むんじゃなかったですなの〜〜〜!!」

恨めしげに、部屋の隅にある箱を見る。
『ロランベリー』と書かれた箱が3箱置いてあった。
この間の給料で買ってしまった、新鮮な一品達である。

「う〜、困ったですなの・・・・・。」



そんなこんなで、お茶会前日。
今日もお仕事に励んでいるクピピだが、頭は明日の事でいっぱいだった。
そんな時である。

「郵便です〜。」

「・・・・・・・。」

「クピピさん?」

「あ・・・?」

名前を呼ばれたので、声の主に視線を送る。
そこには、珍しい物を見たと言う表情の郵便配達人がいた。

「郵便です。」

「あ、ありがとうなの!」

「それでは。」

何事もない様に立ち去った配達人だったが、クピピは恥ずかしかった。
彼は結構口が軽いと言われてるのだ、笑い話の種にされるのがわかったからである。

「う〜、失態ですなの・・・。」

思わずよろめきながら、届けられた手紙を見る。
全部で9つ、全てが神子宛てだった。

「4つの院長に、3博士、ヴァシャイ族長様にセミ・ラフィーナ様・・・。」

耳の院の院長は行方不明、と書類上なってる。
その為、現在は3博士の1人・コルモルが院長をやっていた。

クピピはそれらを持ち、神子の部屋と向かった。

「神子様、お手紙ですなの。」

「どうぞ・・・。」

扉が開かれ、中へと入ると扉が閉められた。
神子の下まで行くと、手に持った手紙を手渡した。

「こちらですなの。」

「ありがとう。」

神子が微笑んで受け取ると、クピピは嬉しくて頬を染めた。
微笑んだまま、神子は尋ねた。

「クピピはお茶会来てくれますか?」

「もちろんですなの!」

「良かった、お待ちしてますね。」

「はいなの!失礼しますなの!!」

嬉しさのあまり、大声とオーバーすぎる礼をして部屋を出た。
この時、クピピの頭には先ほどの手紙の事はすっかり抜けていた。



一方、神子は手紙の封を開けていく度に表情が曇っていった。
9つの手紙の内容は、文面こそ違えど全て同じなのだ。

「欠席、ですか・・・。」

神子は寂しそうに呟いた後、手紙をファイアで燃やした。
これ以上見ると、泣きたくなってしまいそうだった。



お茶会当日。
クピピなりに精一杯のお洒落をして、神子の部屋の前に立っていた。
お茶会の時間5分前、相手が相手だけに遅刻は絶対に許されないと思っていた。

「神子様、クピピですなの。」

「今開けるから待っててくださいね。」

「はいなの!」

扉が開かれると、そこには神子が少しだけお洒落をして立っていた。

「今日はお招きありがとうございますなの。」

クピピは頭を下げると、神子は優しい口調で答えた。

「今日は来てくれてありがとう、クピピ。」

神子はクピピを席に招くと、互いに向かい合うように座る。
部屋の中には2人しかおらず、クピピは不思議な感じがした。

「今日はクピピしか来ないのです。」

「そうなんですかなの?」

「えぇ、皆忙しいらしくて・・・。」

先日の手紙を思い出した。
全部で10人来る予定だったのだろう、神子も寂しそうであった。

「み、神子様・・・。」

「ごめんなさいね。
 今日はクピピの為に美味しいお菓子を作ったのよ。」

暗くなった空気を払拭し様と微笑みながら、そう言った。
出されたのはロランベリーパイ、甘い香りがしてクピピの顔が蕩けそうになる。

「ロランベリーパイなの〜!」

「えぇ、私の手作りなんですよ。」

「凄く美味しそうですなの〜♪」

「いっぱい作ったから、沢山食べてくださいね。」

慣れた手つきでウィンダスティーを入れながら、神子はそう言った。

「いただきますなの〜。」

「はい、召し上がれ。」

大好きな神子と、大好きなロランベリーパイ、クピピは幸せだった。

「神子様、とっても美味しいですなの〜♪」

「お菓子作るのが好きなの、私の趣味なんですよ。」

「クピピ、幸せですなの〜♪♪」

美味しいお茶と、楽しい会話をしながら、時間はどんどんと過ぎていく。
開始から2時間もした頃だろうか、クピピの顔が引きつっていた。

「み、神子様・・・。」

「どうしたの?クピピ。」

「あ、あの、あの、その、なの・・・。」

開始した時から、クピピが食べ終わると新しいパイを置いていく神子。
その数は既にダースを超えていた。
好きな物と言えど、お腹には限度があるわけだが言い出せずにいた。

「も、も、もう・・・。」

「クピピ?」

「ダメ・・・なの・・・けぷ。」

クピピはその場に倒れてしまった。
リスの様に、パイで両頬を膨らませたまま・・・。



気が付いた時、クピピは自宅のベッドで寝ていた。
お洒落な服はハンガーにかけられ、今はパジャマを着ていた。

「食べ過ぎて倒れたのは覚えてるなの・・・。」

誰が運んでくれて、着替えさせてくれたのだろうか?
頭を捻ってる中、ドアがノックされた。

コンコン!

「どうぞなの〜。」

ドアを開けて入ってきたのは、セミ・ラフィーナだった。
手には花を持っていた。

「セミ・ラフィーナ様?!」

「クピピ、体の調子はどう?」

「まだちょっと胸が苦しいなの・・・。」

花をクピピに手渡すと、セミ・ラフィーナは頭を下げてこう言った。

「ごめんなさいね、クピピ。」

「どうして謝るですなの?」

「私は、神子様のお茶会から逃げたのです・・・。」

「!?」

クピピの表情が驚きに変わった。
ミスラでありながら神子を崇拝し、神子の護衛を任されている彼女が逃げたのだ。
その言葉は、クピピには衝撃的だった。

「お茶会は前回が初めてだったわ。
 4つの院の院長と3博士にヴァシャイ族長に私が招かれたの。
 お茶もお菓子も美味しかったのですが、量が半端ではなかった・・・。
 招かれたメンバーは、食べすぎで3日ほど動けなかったわ。」

「な、なるほど、なの・・・。」

今回の自分とまったく同じパターンなのだ。
来なかった理由がわかったところで、クピピはセミ・ラフィーナに尋ねた。

「セミ・ラフィーナ様。」

「何?クピピ。」

「私を家まで運んで、着替えさせてくれたのは誰ですなの?」

「あぁ、私がやったよ。
 神子様に『緊急事態』と言われて、慌てて戻ったのよ。」

「お世話をかけたなの・・・。」

「いいのよ、ゆっくり休んでね。」

セミ・ラフィーナはそう言って、クピピの家から出て行った。
再び1人になったクピピは、そのまま横になった。



次回からのお茶会は欠席しようと思いながら・・・。



3日後。
すっかり回復したクピピは、今日も天の塔で仕事をしていた。

「ほら、用があるならさっさと来るなの。」







<後書き>
タイトルは『神子様のお茶会』かな♪
前回の殺伐したのでしたが、今回はこんな感じにw
2時間でダースは、ゲーム上では食べれませんが・・・ってリアルも無理かも(゜▽゜;)

でわでわ♪
Xephon > 星の神子風ロランベリーパイか・・・隠し効果:3日間移動力‐99% AGL‐100 隠し効果発動条件=神子様のお茶会に参加すること とか(・ω・) (06/14 18:17)
Mariel > 星の神子風ロランベリーパイ:3日間移動不可 5日間ヘビィ&食事不可 かなぁ、あとは隠し効果:お茶会恐怖症とかw  (06/14 22:16)
Xephon > 闇王突入後これ食べる勇者居るかな?w (06/15 14:30)
Mariel > まずいないかもw 食べたら勇者どころか神に認定してもいいかも、でも勝てないだろうねw (06/15 18:23)

名前
06/09 18:16(open)06/09 19:14(107)
この日のラテーヌ高原は雨だった。

テレポイントに現れた2つの影。
白を基調とした衣装に身を包んだ女の子。
黒を基調にした道着、虎の頭の被り物をした男の子。
一見すると子供のように見えるが、タルタル族の冒険者である。

「あ〜、もう!」

ラテーヌ高原に降りしきる雨を見て、女の子が不満の声を上げた。
道着の男の子はバツの悪そうな顔をした。

「あんたがのんびりしてるから遅れたんでしょうが!」

「も、申し訳ない、です・・・。」

「ったく、男のクセに支度が遅いってどう言う事よ!」

両手を上下に振り、怒りを露わにする女の子。
言われっぱなしでしょげていた男の子が、ここでぽつりと言い返す。

「・・・姉さんが変な事言わなきゃ良かったじゃないか。」

「あ”?」

「姉さんが『アンタの好きなジョブにしたら?』って言うからシーフにしたのに、
 『シーフ〜?モンクにしなさいよ、モンクw』とか言うからだろ!」

「何、私に逆らうっての?」

姉の顔に青筋が浮いていたが、弟も引かない。
彼も我慢の限界を迎えていたのだ。

「あ〜、そうだよ!
 だったら最初からモンクって言ってくれれば良かったんじゃないか!
 それで雨が降ってるだの、時間がかかっただのって言われたくない!!」

「ブッコロス!」

「何時までも、アンタに怯えてるだけだと思うな!」

テレポイントから降り、広い所で対峙する。
姉は片手棍と盾を構え、弟は格闘武器を手につけて構える。
周辺に不穏な空気と殺気が立ち込める。

「今謝れば、許してあげるけど?」

「冗談!今日こそ叩きのめす!!」

「貴様ごときが、私に勝てると思うな!」

互いに駆け出してぶつかり合う。
姉は白魔道士で、弟はモンク。
レベルという数字だけなら同じだが・・・。

「そらそらそらー!」

「ちぃ!」

手数で勝る弟が、これでもかと拳を繰り出してくる。
姉は押されてる様に見えるが、盾や片手棍で避けている。

(向こうには魔法がある、長期戦は不利!)

短期決戦で迫る弟だが、百裂拳は温存していた。
白魔道士が使えるフラッシュがくれば、ほぼ向こうにされてしまうからだ。
それに、姉の顔には余裕が見えている。

「そうやって、余裕を見せて・・・むかつくんだよ!」

「アンタとは潜り抜けた修羅場の数が違うのよ。」

「臼のくせに、黙って倒れてろよ!」

「だから何?悔しかったら倒してみなさいよ。」

このやり取りも姉の計算の上だった。
実際にはプレッシャーが激しいのを、涼しい顔をして皮肉っているのだ。
それに、彼女は魔法をまだ使っていない。

「はぁぁぁ!」

(ためるが来た・・・!)

盾を構え、次に来るであろう技に備える。
ためるで攻撃力を上げ、WS・夢想阿修羅拳を繰り出すのがパターンなのだ。
だが・・・。

「足元がお留守だぜ!」

「しまっ・・・!」

姉の視界から弟が消えた次の瞬間、姉の体が浮いていた。
そして、強烈な蹴撃が彼女を襲う!

「吹っ飛べ!」

「くぅぅぅぅ!」

咄嗟に盾で防御し、直撃だけは免れた。
しかし、予想と違う行動に怒りを覚える。

(生意気生意気生意気生意気生意気生意気生意気生意気!!)

「生意気だってのよ、クソガキが!」

顔を真っ赤にし、片手棍を握って走りこむ。
技を決めた弟は、少し冷静になっていた。

(ここだ!)

集中・回避・百裂拳を発動させて迎え撃つ。
姉が冷静でない内に決めようと言うのである。

「これで決める!
 そして、俺はアンタに勝つんだ!」

ぶつかり合う2人。
物凄い勢いで殴る弟と、されるがままになる姉。

(勝った!)

百裂拳の効果で、勝利を確信した。
懸念していたフラッシュが来なかったのだ。

(魔法無しでも勝てると思ったのか、甘すぎる!)

そう思うだけで、それについての思考を止める。
姉の体から力が抜けたのが見えた。

「これでとど・・・」

とどめ、とは言い切れなかった。
余裕を浮かべていた顔は、瞬時に苦虫を潰したような顔に変わる。

「祝福、か・・・!」

「あ〜っはっはっはっはっはっはっは!」

心底悔しそうな顔で睨みつける弟に、姉は高笑いで答えた。
その表情が見たかった、そう言わんとばかりに。
立場が逆転したと言わんばかりに、姉が続ける。

「どう?
 思い切り殴れた感想は?
 ヤバかったわよ、もうちょっとで逝くとこだったもの。」

「そうやってバカにして、そんなに楽しいのかよ!」

「えぇ、だってアンタってバカでしょ♪」

「そうやって見下して、だから許せないんだ!」

怒りを叫びながら、走り寄ってくる弟。
余裕の表情を浮かべつづける姉は、ゆっくりと詠唱した。

「フラッシュ」

「!?」

弟の視界が光に包まれる。
視界を奪われ、動きが止まった所に詠唱が続く。
そう、姉の必勝パターンに・・・。

「パライズ」

「スロウ」

「リジェネ3」

リジェネ3の詠唱中に、視力が回復した弟が襲い掛かる。
が、動きが止まった。

(く、くそ・・・!)

パライズの麻痺効果が働いたのだ。
攻撃間隔も遅くなり、声に出さず自分を罵る。

(くそ、くそ、くそ、くそ、くそー!)

「喧嘩はね、腕っ節だけじゃなくて頭も大事なのよ。」

それが、弟が最後に聞いた言葉だった。



「また、負けたのか・・・。」

雨はまだ降り続いていた。
彼の顔の周りだけ、雨以外のものも流れているように見えた。
だが、声は出なかった。

(次こそはかならず!)

と、リベンジを誓っている頃・・・

「あ〜、面白かった。」

ウィンダスの家に帰っていた姉は、1人愉快そうに笑っていた。

「ストレス発散したくなったら、またやろっと♪」

弟が勝てる日は遠い、かもしれない・・・・・。







<後書き>

久々に〜、タイトルは『姉弟喧嘩』かな。
てか、話が浮かんでこないw
実際には、こんな風にはいかないだろうなぁ・・・モンクvs白魔道士(´ー`)
Kotsubu > お話が浮かんでこない時はムリして書いてもイカンですよ♪  (06/10 10:35)
Kotsubu > デュオくんの初めて(?)の反乱をどきどきしながら読んだですよ、結局まりえるんがかつ・・・げふげふ!? (06/10 10:37)
白黒 > 以前バリスタで似たようなことやられました……MP尽きたから泣きながら逃げました……(ノ_;) (06/10 11:27)
Mariel > リアル喧嘩もこんな感じ、常に勝つのは私です♪ 腕力だけじゃ勝てませんけど、それだけじゃないからねんw (06/10 16:58)
Xephon > これ見たらなんとなくマリエルとバリスタやりたくなるね・・・w 早くFF復帰したいよ(⊃д⊂) (06/14 18:11)

名前
05/17 08:41(open)05/17 08:43(106)
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ノーブル装備の私♪
やっと手に入りました〜(*´Д`*)v

Kotsubu > 全部揃ってるですか?すごいですねぇ。。。 (05/17 12:22)
Mariel > 胴以外は、それほど大した値段じゃないんよ、胴だけが・・・_| ̄|○ (05/17 12:52)
Kotsubu > いくらかかったかは怖くて聞けない…。 (05/17 14:14)
Hartmann > 何人恫喝したかは怖くて聞けないですじゃ…。 (05/17 15:13)
Kotsubu > じぃちゃんの怖い者知らずな発言がどうして出来るのか知りたいけど、怖くて聞けないです…。 (05/17 20:14)
Mariel > 恫喝なんかするか〜い!ヽ(`Д´)ノo(`ω´*)o(ノ ゜Д゜)ノ ==== ┻━━┻  (05/18 07:12)
白○ > (/_<)エーンエーン (05/18 07:52)
Luciel > ○黒さん そんなこと言ってたらホントに恫喝されちゃうよw (05/18 17:44)
Mariel > だ〜から、そんなキャラじゃないって言ってるでしょうが!wヽ(`Д´)ノ (05/19 00:31)
Ootsubu > みんなからまりえるんへの愛を感じるっス。(*^-^*) (05/21 10:33)
Mariel > おつぶちゃんはうまい事言うのぅ、そゆことにしときますわ♪ (05/21 18:22)
Kotsubu > ・・・・・・・・・・壁|д▼)えー!? (05/21 21:00)
Koutack > えー とか言うとまた鉄拳が飛んできまs ゴブァ!(・・・バタッ (05/22 01:34)

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