つぶsと愉快な仲間たち Member ListProfile : hiren
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hiren さんの日記。(5件表示)

小団円(open)06/11/23 13:08(4)
チャイムの音に耳をピクリと反応させる猫スケ。
そのままゆっくりと俯いてしまいおった。

「む、なんじゃ忙しいときに。また客かの。」

こつぶらが帰ってきたのかもしれん。
客じゃったとしても、どんな用事か分からんが、時が時じゃ。
少し失礼じゃが今日は引き取り願ってそれからつぶらを探しに行くかの。

「はーい、今行きますじゃ」

猫スケの横を通り過ぎドアに向かう。


がちゃ


ドアの向こうには・・・・


誰もおらなんだ。

念のために下のほうにも視線を向けるが、つぶらの姿も見えんかった。

「?変じゃのぅ」

まぁええ。
ドアを閉めて部屋に戻って出かける準備をする。
準備といってもそれほど持っていくものもないがの。
帽子とコート。
それにいざというときのための護身用にブロンズソードを背中に忍ばせておく。

準備をしながら猫スケをチラリと見るとまだ部屋の真ん中で俯いたままじゃった。

ちょっとキツく言い過ぎたかもしれんのぅ・・・

「あー、猫スケ。さっきはちょとキツく・・・」

「わかった。本当のことを言うよ」

意を決したように顔を上げ、こちらに向き直る猫スケ。

「?」

「爺、落ち着いて聞けよ・・・あの子達はね・・・」
そこで息を吸って間をおいた。

「・・・家出したんだ」



・・・


・・・・・・


・・・・・・・・な・・


な・・なな・・・・なななななな

「なんじゃとぉぉおおおおオオオっっ!!??」


ビュンっ!と猫スケの肩を掴み、ガックンガックン揺する。

「どういうことじゃっ!?家出ってどういうことじゃっ!?どういうことじゃ家出って!?」

「まーまー、だから落ち着きなってー」
頭をカクカクと揺らしながら答える猫スケ。

「孫らが家出と聞いて落ち着いておられるかいっ!!説明せい猫スケ!」
肩に置かれた手を払うと、コホンと小さく咳払いをしてから話し始めた。

「今日ね、街であの子達とマリエルさんが買い物してるの見たんだよ」

そういえばモグもつぶらはマリエルと出かけたとゆーておったの・・・

「で何か様子がおかしかったからさ、聞いてみたの。『どうしたんですかー?』って」

「そしたら何て言ったんじゃ!?」

「そしたら・・・」

ううっ、と泣き声をこらえるような大げさな仕草で顔を背ける猫スケ。

「そしたらあの子達・・・『もうじぃちゃんと一緒に暮らしたくないデス!出て行きますデス!その準備デス!さいなら!』って・・・」

「あ、あの子らがそう言っておったのか!?」
ヨロヨロと後ずさり、椅子に力なく座り込んでしまう。

「うん。何か怒らせるようなこと、したんじゃないの?」

お、怒らせるようなこと・・・何かしたかのぅ・・・
頭を抱えて考え込む。

あ!あれか、おおつぶのお気に入りのマグカップをうっかり割って泣かしてしもーたことか!?

いや、しびきちが合成しとるときに大声で呼んでクリスタルが割れたときも涙目で睨まれたような・・・

もしくは昨日冷蔵庫に入れといたこつぶのプリン食ってしもーたことか!?

考え出すと色々と思い当たることが浮かびだしてきよる。

あぁ・・・ワシは・・・ワシはどうすれば・・・

「何してんのさ」

猫スケの声に頭を上げる。

「早く探しに行きなよ」

「しかし・・・ワシを嫌って出て行ったとなれば・・・」

「さっき自分で言ってたじゃない。あの子達はワシが面倒見なきゃいけないって」

「・・・・・」

「爺がそんなんでどうするんだよ。あの子達が本当に頼れるのは爺だけなんじゃないの?今頃どっかで泣いてたらどうするのさ」


・・・そうじゃ。何を考えることがあるんじゃ。

あの子達はワシの家族なんじゃ。
血のつながりなど関係なく、家族なんじゃ。
親は子にどう思われようとも、子を育てるもんなんじゃ。

頼られるべき親のワシがこんなんでどうする。
ワシは・・・自分が恥ずかしいわい。

椅子からスッと立ち上がる。

「ワシは・・・探しに行くぞぃ!」

「うん。あの子達もちゃんと話せばわかってくれるさ」
猫スケは満足そうに頷くとそう言って玄関に向かった。

しかしこの広い街を一人で探すには限界がある。
もう日も落ち辺りは暗くなってしもーておるし・・・
「あー、猫スケ、さっき怒鳴っておいてこんな頼みするのはアレなんじゃが・・・」

「爺だけだと自分が迷子になりそうだからね。探すの手伝ってやるから、ほら、早くしなよ」
玄関で手招きする猫スケ。


・・・恩に着るぞぃ・・・

猫スケに聞こえんように小さく呟くとワシも玄関のドアの前に立つ。
ドアのノブに手をかける。


あの子らを見つけたら何と声をかけようか・・・

いや、考えることもあるまいて。
素直に謝ればええ。
それから・・・家に帰ったら腕によりをかけた暖かいスープでも作ってやるかの。


ガチャ!

ドアを勢いよく開け放って外に出る。

ワシの大事な孫を探すために・・・

ワシの大切な家族を探すために・・・!








パァーン!
パパァーン!
パァーン!

「ぬおっ!?」

ドアを開けるとワシに向かって紙袋が破裂するような音が一斉に鳴り響いた。
数秒間をおき、落ち着いてあたりを見回すと家の前に黒山の人だかりができておった。みな知った顔じゃった。
その中にはマリエルや、ウチのモグまでおる。

その一団の中から3人のタルタルが前に出た。

「おおつぶ・・しびきち・・それに、こつぶ・・」

家出したはずの孫らじゃった。
3人は玄関から出る途中の体勢のまま固まったワシの前まで来ると、ワシを見上げてニンマリと笑顔を見せた。

「せーの・・・」
真ん中におったこつぶのその言葉に続いて

「「「「「「「「「「「「お誕生日、おめでとーーーっ!!」」」」」」」」」」

その場におった全員が大きな声と拍手でワシを出迎えた。

まわりはクラッカーの音や拍手の音、「おめでと〜」なんかの言葉で溢れておる。
その対象であろうワシだけが目を丸くしてドアのノブを握りしめた状態で固まっておった。

「こ、これは・・・!?」
混乱する頭をなんとか落ち着かせる。

「ぷぷ!じっちゃんビックリしてるですね。大成功なのです!」
こつぶが嬉しそうに言う。

「じっちゃんにずっと隠れて準備してきた甲斐があったっす!」
おおつぶも嬉しそうに言う。

「こつぶ、おおつぶ、しびきち・・・家出したんじゃ・・・」

「家出?何のことっスか?」
しびきちが首を傾げる。

「・・・・・」


・・・フっ・・・そういうことかぃ・・・・・・

そういうことなんかぃ・・・・・


ふつふつと怒りがこみ上げてきよる・・・
そして、怒りの発端であろう人物にこの怒りをぶつけねばなるまいて・・・


その者の名は・・・



「猫スケェェーーーっ!!」

くわっ!っと後ろを振り向くとそこには腹を抱えて床をバンバン叩いておる猫スケがおった。





「それじゃあ私も帰るわね」

「今日はありがとうのぅマリエル」

玄関先で最後まで残っておったマリエルを見送る。

あの後、ワシの誕生日に駆けつけてくれたみんなは盛大なパーティーを開いてくれた。
ワシをビックリさせようとかなり前から孫らとマリエルが中心となって用意をしていてくれてたようじゃ。
猫スケにワシを足止めさせてチャイムで準備ができたことを知らせるなど、計画もかなり練ったもんじゃった。

まぁ猫スケの思いつきで騙されることにもなったんじゃが・・・

遠方からはるばる訪ねてきてくれた者もおった。
嬉しかったのぅ・・・

「ううん、いいのよ。それに言い出したのはあの子達だしね」
そう言ってもう疲れて寝ておる二階の孫らの部屋を見上げる。

「そうじゃったのか・・・」

「あの子達のためにも長生きしなきゃね、お爺ちゃん」

「じゃの」
ふふっ、と二人で笑う。

「それじゃ、おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」

ドアを閉めて居間に戻る。
廊下に落ちておるクラッカーの中身の切れ端やこぼれたジュースの染みが賑やかさを思い出させる。
じゃが、明日も一度ちゃんと掃除せねばの・・・

「ふぅ・・・」
居間の椅子に座って一休みする。

夕方と同じように暖炉の上にある写真立てに目をやる。
そこには変わらぬ孫らの笑顔があった。


・・・そうじゃな。
猫スケが言っておったが、あの子らが少なくとも今頼っとるのはワシなんじゃ。
そのワシが死んだら、幼いあの子らにまた悲しい思いをさせてしまう。

親を失う悲しみをあの子達は幼すぎるときに体験しておる。
せめて、ワシが死んであの子達が悲しむのは、あの子達が十分大きく、強くなってからでも遅くはあるまいて。


「さて・・・ワシも寝るかの」

腰を上げるとポケットから一枚のカードがヒラリと落ちた。

「ん?これは・・・」

カードを拾い上げて裏返すと何か書いておる。

「・・・フッ、あいつめ・・・」


『せいぜい長生きしなよ。爺』


名前がなくとも誰が書いたかすぐわかるバースデーカードをポケットに戻してワシは部屋の明かりを消した。




       〜おわり〜


〜〜〜言い訳がましい後書き〜〜〜
書き始めたときはすぐ終わる予定だったんです。
でも書いていくうちに

「あ、ちょっと長くなってきたかな?」

「あ、だいぶ長くなっちゃったな・・・」

「うわ!長っ!なんだこれ!」


・・・・・


分けようかとも思いましたが、2話の後書きで
「次で終わり」なんて言ってしまいましたしね・・・バカです(-_-;)
Kotsubu > いくらでも長くなってもかまわないですよー( ̄▽ ̄)ノ  ちょびっとだけ想像してたですけど、やっぱり書き方が上手ですよね、ジーンとくるです。 (11/22 10:39)
Ootsubu > なんだか、増えていたんでそっと削除しましたっス。 (06/11/23 13:09)

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