つぶsと愉快な仲間たち Member List
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Xephon さんの日記。(5件表示)
06/26 01:46
(open)
06/26 13:06(13)
第一章: 終わりのない夢
『Xephon Side』
眩しい・・・
まぶたを少し開き、朝日の光が射し込んでいる。その侵入ルートの窓を睨む。
「眠い・・・・・・」
まだぼんやりしてる頭を傾けて、時計をみた。
7時39分、そろそろ朝食の時間だ。射し込んだ光から見ると、今日はいい天気みたいだ。が・・・
「もう少し・・・」
グルと体を回り、布団で顔を隠し、再びまどろみの中に身を委ねる。
朝は弱い・・・いや、この方が普通と思える。
こんな寒い朝恋しい布団から出られる人の方がどうかしてる。
だが、こんな俺でも今まで仕事が遅刻したことないのが奇跡ぐらい、その原因は・・・
コンコンコン
部屋の扉からノックの音がした
「ゼフォン〜起きた?」
「・・・・・・・ZZZ」
カチャ
誰かが扉を開けて部屋の中に入ってきた。
「あぁ〜やっぱりまだ寝てるぅ」
ゆらゆら
「ゼフォン、早く起きなさい」
「うう〜 もう少し寝かせてくれ」
「駄目、今起きるの」
「うぅ・・・もう10分・・・」
「ふん〜起きないだ」
「もう少し寝る・・・」
「分かった」
ぉ、今日は諦めが早いな。と思った途端・・・
ぞくっっ
いきなり首筋に悪寒を感じた。
「えりゃ!!!」
声と共に冷水が降りてきた。
「うああああ・・・冷てぇぇぇ!!!」
毎日こんな感じで起こされるから遅刻するはずがない。
「ぅぅ・・・さ、寒い・・・」
つうか、今日は氷付きの冷水かよ
「ファイアで温めようか?」
目の前に立ってるミスラはニヤニヤと笑っている。
「い、いや、ケアルのMPがもったいない」
毎日似たようなやり取り・・・なんか日課になってるから、やらないと一日が始まってない気もするが・・・出来ればやりたくない。
「おはよう〜ゼフォン」
「お、おはよう、レヤ」
俺の名前はゼフォン、3年前までは冒険者だった、冒険者というのは・・・夢ある人、ロマンある人・・・かな?
3年前のある事件の後、俺は冒険者をやめて、このバストゥーク共和国に戻ってきた。今はバストゥーク共和国の他国視察官を
やっている、と言っても全部の視察は冒険者にミッションとして任せて、俺はバストゥークから出たことないけど。
「早く着替えないと、風邪引いちゃうよ」
レヤがクスクスと笑い素早くズイっと部屋から出る。
そのミスラはレヤ、俺が冒険者をやってた頃ラテーヌ高原で救った女の子。今は一応まだ冒険者・・・でもあるけど、この3年間、
バストゥークから離れたとこ見たことがないかも。俺と同棲してるが、別に特別な関係ではない。俺がまだ冒険者をやっていた頃
から良く俺の後ろについてくるから、まぁ・・・弟子?みたいなもんかな?職は違ったけど、先輩冒険者として色んなことを彼女に
叩き込んだ・・・っていうか彼女が未熟過ぎたからそうしないと物凄く心配だった。だが、なぜか俺が冒険者を辞めた時彼女も
バストゥークに付いてきた、それ以来冒険者活動一切見なかった。
部屋内で少しぼぉーっとしたら、一階からレヤの声が聞こえてきた。
「着替え終わった?じゃ早く降りてきて、朝ごはん出来たよ〜」
「すぐ行く」
俺はいつもの礼服に着替え。欠伸しながら階段を降りて行く。
「・・・・・なんだ?この匂い?」
リビングに入った途端、とてつもない臭いが襲ってくる。
「ぇ・・・・・えっと・・・何のこと?」
レヤはピクっと固まって、こっちに振り向かずに答えた。
「レヤ・・・」
「は、はい!?」
凄い動揺してる・・・微笑ましいと言いたいけど、今はそれところじゃない。
「・・・お前また料理を作った?」
「まっ、まあー、その・・・あの・・・えっと・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
観念したように、振り向いて
「はぃ・・・料理しました・・・」
とほほ・・・っと俺の肩からいきなり力が抜いていった。
俺は料理上手いじゃないから言うのはなんだけど、レヤの料理は・・・危険だ。まずいというレベルじゃない、
なぜか冒険者時の習慣で普通の台所にクリスタルを使おうとするし、食材を間違うし、動くものが出るし・・・
と言っても千回に一回ぐらいに食えるものが出る、いや、物凄くうまいものが出た、なぜか成功した時の味は素晴らしかった・・・
なぜそう極端的なのか全然分からないが、どうやらそのせいでついつい料理を作っちゃうらしい。
「うぅ・・・味見・・・相変わらずしなかったね・・・」
今日の朝食はスープか・・・しかも紫色?つうか・・・これ、見た目だけで結構やばいと思わない?
「ぅぅ・・・ゼフォン様に先に食べさせたいから・・・(怖いから食えないよぉ)」
「・・・・小声でなんか言ってない?」
「な、ないない、聞き違いだよ!うん!そう!」
うそつけ!怖いから食えないって確かに聞こえた!
まあ・・・作ってくれたし、食わないと可哀そうだから食べるしか・・・
『あぁ・・・昨日買ってきたパンが恋しいー、なんて言ったら泣くな、絶対に』
「んじゃ、い、いただきます」
じぃーーーーーーー
って、なんで『本当に食うんだ・・・』のような表情でこっち見てる。
くそ・・・もう渡りかけた橋だ、落ちるならそのときはそのとき!
俺は目の前のスープを一口すすってみた。
「ズゥゥゥ・・・・」
「ど、どうですか?(ワクワク)」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ゼ、ゼフォン?」
「・・・・・・・・・・・・・・う・・・」
「う?」
「うううぅぅ・・・・・」
バタンっ
「あああ!!ゼフォンが死んだ!!やっぱりモルボルのつるを出汁に使ったのが間違った!?」
やっぱり凄い破壊力だった・・・・闇王でも1発で倒せるんじゃない?このスープ、っていうか、モルボルのつるを料理に使う?普通。
どうやら・・・今日も仕事無理か。たしかに遅刻はしたことないが、こうやって料理にやられて仕事を休んだのはよくあるな・・・
なんか今回のスープは今までの中に一番凄いかもしれない・・・い、意識が・・・
あ・・・花畑だ・・・川が見える・・・・お爺さんが俺に手を振ってる・・・向こう行けってことかな?
って、オークとかの獣人も川の向こうから手を振ってる・・・こりゃ行きたくないな
あ・・・あいつも居るな、懐かしいな・・・
ん・・・あいつ・・・?
「っ!!」
意識が一気に戻り、俺は椅子から飛び上がった。
「きゃ!」
横から俺の様子を覗き込もうとするレヤはびっくりしてぺタンっと尻もをついた。
「ゼ、ゼフォン、大丈夫だった?」
レヤは地面に座り込んだままお尻をさする、その様子を見た俺は少し罪悪感を感じた。
「あ、ああ・・・大丈夫だ・・・」
「う、うう、ごめんね、やっぱり不味かった?」
不味いかどうかのレベルじゃないだろ!と普段なら即突っ込むが、どうやらスープのダメージで頭がまだはっきりしていない。
「・・・・・・・」
「そんな怖い顔をしないでよ、こうやって謝ってるから」
「い、いや、そうじゃない・・・・料理のことじゃないんだ」
「え?違うの?」
たぶん間違ってないけど、俺が見たのあの人は・・・あいつだ・・・
俺が見た花畑+川・・・俺ってもうすぐあの世に行くところだった??
「まさかな・・・」
自分の想像力に参っちゃう・・・よくそんなことを想像出来るな。彼が聞いたら腹を抱いて大笑いするだろ。
「・・・ゼフォン?」
「ん?」
「本当に大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ」
「じゃ、今日は仕事に行くの?」
「ああ、行くよ、別に大したことじゃないし・・・そろそろレヤの料理のダメージを耐えられるように鍛えてきたじゃない?」
正直相当やばかったが・・・立て直さなかったら逝った。
「ゼフォンがそう言うなら良いけど・・・」
「ああ、すまない、心配かけたな。」
「ううん、元々わたしの料理のせいだもん、ゼフォンが気になることないよ・・・でもね」
「だから、レヤも気にするな。俺は結構タフだぞ」
「ううん、それのことじゃないの」
「ん?じゃ、なんのこと?」
「そろそろやばいよ」
「え?なにが?」
レヤは壁にある時計に指差す。
「時間」
「ぁ・・・」
8時58分
「げっ、マジかよ」
「いってらっしゃいー」
レヤはにこにこっと微笑んで手を振る。
「行って来ますっ」
全力で走り出した、仕事場には9時15分前につく必要ある・・・15分・・・ギリギリか・・・その上に朝飯抜き
「こりゃ辛いかも・・・(汗)」
どの角も壁ギリギリ掠りそうで回り、上り階段なんか3段飛びで登る。
「間に合ってくれぇぇーーー!!」
一方、ゼフォンとレヤの家
「はぁ・・・また失敗しちゃった。やっぱり味見しないとだめかな・・・でも、ゼフォンでもあれほどダメージ与えたもの・・・私食べたら
どうなるかな」
「たぶんゼフォンが起きて、わたしの死体の第1発見者になるに違いないね・・・下手したらゼフォンが犯人にされちゃったりして・・・」
レヤの顔に少し意地の悪い微笑みが浮かび
「それはそれで少し面白いかも・・・って自分の命を冗談に使うのもなんだかな・・・」」
「そろそろ方付けるかな、晩御飯でもう一度チャレンジしてみよう。」
レヤはリビングの壁にある時計を見る。
「あれ・・・」
8時58分
「これ・・・止まってる(汗)、クリスタルの魔力が切れた?」
注:この時計は雷のクリスタルで作動しているもの、クリスタル内の魔力が切れたらもちろん電気も切れ、動かなくなる。
「じゃ、今は何時?」
レヤは首を少し傾げて食器を片付ける。
バストゥーク大工房 二階 サンドリア大使館
「ったく、こんな朝っぱらから全力走ってどうする?」
「はぁ、はぁ、はぁー」
「って、なにか急用でもあるのか?こんなに早く来るなんて」
時間は8時16分・・・考えてみれば着替えてすぐスープで倒れ、その後すぐに起き上がったから、大した時間経ってないのは当然。
「はあ・・・はあ・・・レヤめ・・・・謀ったな」
「なんだ、可愛い奥さんの仕業か?」
目の前の金髪の男がニヤニヤしている。
「お・・・お、奥さんじゃない!!」
「ちぇ、もう一緒に住んでるから、同じだよ」
「だからそういう関係じゃない」
「じゃ、どういう関係だ?」
「うぅ・・・師匠と弟子かな」
「うは・・・少なくとも兄弟みたいなもんとか言え」
「いいじゃないか、師匠と弟子で・・・」
「あ〜あ、レヤちゃんはお前に勿体無いな、お前が貰うつもりないなら、このエンペラー様が貰おうかな〜」
「自分の弟子が不幸な人生を送ろうとするなんか黙って見られるか!お前とだけは許さん。」
目の前に居る男はエンペラー、サンドリア所属のヒューム冒険者。職はナイトだが、なぜか黒魔法も得意、しかも古代精霊魔法まで
使える。外見は金髪で童顔、いつも真っ白な鎧着てるから、どう見てもかっこいいしか言えない・・が、性格は軽く、プレイボーイ、
喋らなければ人気あるタイプ。彼と知り合ったのは1ヶ月前彼がサンドリア王国代表の視察官としてバストゥーク共和国にやってきた時、
大統領が俺を彼の補助役に任命された、もちろん彼を秘密情報から遮断するため。
詳しくは分からないが、彼は結構腕あると見える。実際に戦うところ見たことないが、昔冒険者である頃育って来た勘がそう教えて
来る。最初はこれほどの冒険者はなぜ視察官なんかやってるから、絶対裏があると彼を警戒してたが。結局俺の勘違いだった、
彼はどうやらなにかの原因でサンドリア王国にしばらく居たくなかったから、このミッションを受けたらしい。
んで・・・その原因はどうやら女絡みらしい。
「そうムキになるな〜冗談だよ、冗談。俺がその気あっても向こうはその気がないから無理w」
「・・・ってもう結論出てるってことは・・・お前もうレヤに手を出したな!」
「い、いや、出してない。ただ彼女の様子見れば分かるさ、俺にチャンスがないって」
「ふん・・・そいえばレヤは男性に興味あるところ見たことないな・・」
それはそれで良くないかもな・・・
「本当に手を出してない?」
「あ、ああ、本当だ、だからそうムキになるなって」
「ムキになってない、ただ無駄な体力使ってて、イラついただけだ」
「(ったく、鈍感なやつめ、レヤちゃんが可哀そう)」
「なんか言ったか?」
「いや、なにも」
最初は仕事の付き合いだけだが、なぜか、エンペラーとは意外に気が合う。ほとんどの冒険者は他国の官僚に
良い感情持っていないが、どうやらエンペラーにそういうものはないみたい。いや、正直言えば、彼の頭の中にたぶん女性以外
のことはどうでもいいっと言えばいいか。
ぐぅぅぅ
「う・・・・」
腹の虫の音だ・・・
「お前、朝飯食ってないのか?」
「そういえば、朝飯抜きで走ってきたな・・・時間まだあるし食堂に行ってくる」
息が落ち着いたら腹が減ってきたな。
「俺も付き合うよ、ちょうど喉渇いたw」
「じゃ、行こうか」
考えてみれば、食堂で朝飯するなんて、今日は初めてだ、いつも朝は家でパンとかで済ませてから大工房に来るし、
今回は初めてレヤの破壊料理を食らって意識途切れなかったし・・・
「大工房で朝飯なんて、初めてかも」
「おぃ、お前本当に地元かよw」
「いや、いつも家で朝食済ましてから来るから」
「くー、この幸せ者め。毎朝愛しいレヤちゃんと一緒にラブラブな朝飯か」
「だから、そういうんじゃなくて」
「良いな・・・俺もレヤちゃんと一緒に朝飯食いたいな」
「・・・手料理でも?」
「げっ・・・そ、それだけは」
エンペラーは珍しくうろたえる。そう、彼もレヤの料理を知っている。
彼がバスに来た早々俺がレヤとの同棲と知り、飯を食いに家まで押し込んできた。
運悪く・・・その日の夕食はレヤの手作りだった。彼は大喜びで、俺とレヤの阻止を無視してレヤが作った料理を食った。
たぶんどんなに不味くても、美味いと言える自信があるかもしれないが・・・
予想外にレヤの料理はもう味覚と関係ないのものであり、流石にエンペラーでも泡を吹き、3日間ベッドから降りられなかった。
「あ、レヤがそれ聞いたら泣くぞ」
「ま、まあ、誰でも1つや2つの欠点があるんじゃないか。それは当たり前だ、レヤちゃんが気にする必要なんてない」
エンペラーがうんうんと頭を頷く。
「ほぉ・・・レヤの料理の腕が悪いのは当たり前というのか」
「ば、違う、俺はそういう意味じゃ・・」
二人がレヤの必殺料理の話題を盛り上がりながら、食堂の前まで来た。
食堂の扉を開いたら、ふわっとパンやシチューの匂いが流れてきた。だが、食堂の風囲気がなぜか凄くビリビリしている。
二人は食堂に入り、周りを見回すと。全部の席が冒険者に埋め尽くしてる。
この冒険者たち・・・相当な腕なやつばかりだ。
食堂のあばさんが入口に立ってる二人を気付き、うんざりな顔して声をかけてきた
「なんだい、席なら見ての通りもう・・・・」
ふと俺たちの顔を見た
「あらまあ、ゼフォン様、こんな朝早く来るなんて珍しいわね」
「あ、ああ、ちょっと朝飯食べ損ねて。この様子から見ると・・・座れるところないね」
「そうだよ、朝っぱらから冒険者がいっぱい来てさ、こっちは忙しくて忙しくて・・・」
「そうですか・・・それは大変ですね」
たぶん上からなにかのミッションだな。俺もなにも聞いてないてことは、昨日か今日で下したものか。最近これほどの人数が要る
ミッションが下るなんて、結構珍しい。
「おばさん、パンかなにかを売ってくれ、歩きながら食べるから」
「あいよ、じゃ、大工房特製ガルカンソーセッジ・ホットドッグをご馳走してあげるよ」
俺は朝飯を買い、エンペラーはパインジュースを買い、二人は食堂から出てサンドリア大使館に歩き始めた
あばさん特製のホットドッグをかぶり付く。悪くない・・・肉食生物には・・・
「やっぱりガルカの好みが分からん・・・」
「別のを買えば良かったじゃんw」
「せっかく薦めてきたし・・・他のを注文するのは流石に出来ないな・・・」
「人の好意を断るのが下手か、お前は」
「ほっとけ」
「・・・・そうそう、さっきのはどう思う?」
冒険者たちのことだな・・・彼も冒険者だから、こういう状況は良くしってるはず。こうやっていきなりハイランクの冒険者たちが
国に集まるのは他ではない、なにかの特殊ミッションが下った。
「ミッションだな、上からなにも聞いていないから、俺とは関係ないってことだ」
「やっぱりそうだね・・・俺にも関係ないな、バス人へのミッションだしw」
「んで、お前なんか噂とか聞いてないか?一応冒険者だし」
「まさか、俺は最近ずっとバスに居たんだよ、どこからどう聞ける?」
「それもそうか・・・」
あれほどの数の冒険者を使うミッションということは、何かの大事件と関わりあるはずだ。それにあの冒険者たちは相当緊張しているって
ことは、そんな人数でも危険があるということだな。まさか・・・獣人たちになんかの動きがあったのか?
横に歩いてるエンペラーを見ると、彼は珍しく真剣な顔になっている。
「おい、どうした?珍しく真剣な顔して」
「ふむ・・・・」
「まさか、お前はなんか心当たりがあるのか?」
「いや、そうじゃなくて・・・」
「ん?じゃなにを考えてる?」
まさかこのミッションはサンドリア王国と関係あるとか・・・
「さっきは注意しなかったけど、食堂にさ、女冒険者居たっけ?」
たしか数人居たような
「居たよ、それがどうした?」
「うは・・・ナンパのチャンスを見逃すなんて、このエンペラー様一生の不覚」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ」
だめだ・・・やっぱりこいつの頭の中に女のことしか入らない。
数時間後 ――――正午―――――
今日の仕事はいつもと同じ、エンペラーの視察を手伝う、そして機密の防衛。と言ってもエンペラーは全然視察していなく、
ただ街をあっちこっち周り・・・女性を見当たり次第でナンパしてた。まさかこの1ヶ月の期間で全バストゥークの女性を
口説くするつもりじゃないかの勢いだった。
「お前さ、仕事しなくていいのか?」
「いいっていいって、別に視察する必要あるわけじゃないしw。こうやって定期的に他国に視察官を送るのはただの監視に過ぎない」
「・・・・・そうだな」
冒険者ってやっぱり気楽なもんだ・・・こうやって普通の生活を送るといやでも気付く。なんかエンペラーが羨ましくなってきた・・・
ぶんぶん
俺は力いっぱいで頭を横に振った
(何を考えている・・・俺はもう・・・)
「なんだ?辛気臭いな顔なんかして」
「いや、ちょっとくだらないことを考えただけ」
エンペラーは新しい口説く成功した女性の連絡資料をノートに書き込む、流石に仕事中はデートの誘いしないみたい。
「そろそろ昼飯でもするか?俺はもう腹ペコだぜ」
「ああ、そろそろ時間だな」
「んじゃ、どうする?ここからだと港のあの酒場の方が近いじゃない?」
たしかに、ここだと橋を渡ればすぐだ。だが、あの酒場は冒険者たちの集まり場だから、少し抵抗がある。
でも、俺が引退してからのはもう3年も立った、たぶん俺を覚えている顔がもうないはず。
「そうだな、そこにしよう」
二人はバストゥーク港区の酒場に来た
扉を開いたら、食欲をそそる匂いと冒険者たちの声が聞こえてきた。
「相変わらずこの時間帯、人多いな」
エンペラーは空いてるテーブルに座って言った
「ここ、バス内で結構人気あるからな」
「女将は美人だからねw」
「いや、それじゃないと思う」
流石っていうか、何ていうか、もうここの女将もチェック済みか
ふと、隣のテーブルに座っている人たちを気付いた。朝の時大工房に居た冒険者たちの一部だ
「エンペラー、あのテーブルの冒険者たち」
「ん?」
エンペラーはそのテーブルの冒険者たちはちらっと見た後、俺に頷いた。
二人はオーダーを入り、その冒険者たちの会話に注意を向けた。
「今度は本当におかしいなミッションだね」
一人の冒険者は仲間にこう言った
「ああ、どうやら例の事件と関係あるらしいぞ」
「うそ、ラテーヌで起こったあの事件と?」
「ああ、噂では、そのサンドリアの冒険者たちはあるミッションを受けて、途中で獣人軍団に襲われたらしい」
「その噂俺も聞いた、あの冒険者たち、一体どんなミッション受けたんだろね」
「あのサンドの冒険者たちって、結構強いと聞いたね」
「そうそう、あの程度のパーティが獣人にやられるなんて、絶対結構な数が居るんだね」
話によると、ラテーヌ高原でハイランクの冒険者パーティが獣人軍団にやられたって話だな・・・
最近獣人たちの勢力がそんなに伸びてたのか?
「エンペラー、お前は知ってるのか?この噂。」
「いや、初耳だ・・・たぶん最近起こった事件じゃない?」
ふむ・・・エンペラーも分からんか
「お待たせしました」
注文した食事が来て、二人は食べながら隣の会話を聞き続けた。
「そういえば、そのサンドリアの冒険者たちと知り合いの人居るかな?」
「あ、俺と一緒に組んだことあるよ、そのパーティの一人と」
「うあ、そうなんだ・・・ご愁傷様」
「いや、別に知り合いというレベルじゃない、1度だけ一緒に冒険に行ったんだけだ、あれ以来全然連絡しなかったし」
「やっぱり噂みたいに腕が良い?」
「ああ、たしかに悪くなかったな、結構頼もしいナイトだったよ」
「そうか、俺たちも気をつけないと駄目ってことか」
「そうね、彼ほどのランクのパーティが全滅されるなんて、信じがたいことだよ」
「って、あの人の名前は?面識があるかもしれないし」
「ああ、あの人はトスっていう、サンドリアのナイトってさ・・・」
「!!!!!!!!」
バタン
気付いたら俺が座ってた椅子は倒れ、その冒険者の肩を掴んだ
「今、トスって言ったな!」
「な、なんだよ、お前」
「今、トスがやられたって言ったな、本当か!?」
「お、おい、ゼフォン、落ち付け!」
「トスって・・・あのヒュームナイトのトスか!?」
冒険者は目の前の人の噛み付きそうな勢いに気圧された。
「あ、ああ、トスと言えば、あの人しか知らないぞ」
「まさか・・・彼がやられた?」
「あ、ああ・・・」
「い、何時のことだ?」
「3日前だけど・・・」
じゃ・・・今朝に見えたあれって・・・
「ゼフォン、良いから彼を放せ」
「あ、ああ、すまない・・・」
俺は手を放して、冒険者から離れた。
トス・・・死んだ!?
俺と同期の冒険者・・・そして俺の親友だった男。二人はそれぞれ暗黒騎士とナイトどして、お互いの弱点を補正しあい、一緒に
旅をしてた。俺は彼の剣であり、彼は俺の盾でありという信頼で色んな修羅場から生還した。
だが、一度彼は病気に侵し、長い間修養を取ったため、二人の実力はその間大きく離れた。
だが一緒に冒険に出なくても、よく一緒にジュノの酒場で夜明けまで酒を飲み、お互いの近況を語り合った。
「お、おい、今この人をゼフォンって呼んでいなかった?」
酒場の冒険者たちの視線は俺たちに集まった。
「あ、ああ、たしかにそう聞いた」
「え?」
エンペラーは周りの反応に戸惑った。俺らに集まった視線は不思議、疑問・・・そしてなぜか憧れも。
「ゼフォンってさ、あの称号を貰った人だよね」
「そうそう、大統領からあの称号を貰ったパーティの一人」
エンペラーには初耳だ。普段称号と言えば、人々が冒険者の功績を語るために使うもの。。
だが、自分が知ってるこの男は冒険者ではない。
「ゼフォン、この人たちが言ってる称号って?」
「・・・・・・・・・・」
しまった・・・顔が分からなくても、名前ぐらいは知ってるんだろな。
「あれ?知らないのか?一緒に居たから知ってたかと思った」
エンペラーは頭を横に振った
「いや、初めて聞いた、バストゥークでは冒険者以外にも称号与えるんだ」
「なにを言ってる?この人がゼフォンなら冒険者だぜ」
「え?」
「ああ、こいつ、結構知られてるよ、バス人に」
「そうそう、住民たちは彼を英雄扱いしてたしね」
「その上に、大統領からあの凄い称号貰ったし」
エンペラーは知らなかった、この数週間彼の「監視役」のこの男は冒険者だった。
「さっきから聞いたその称号って、いったい何?」
「ああ、何年前かな。彼は鋼鉄銃士隊と一緒にミッション出てさ。戻ってきたら、大統領本人から"英雄なき時代の英雄"という称号
を受けたんだよ」
『英雄なき時代の英雄』
この称号を受けた人はゼフォンと彼の仲間たちだけだった、彼らはどんな功績でその称号を受けたのは誰も知らなかった。
彼らの後に同じ称号を貰った人が居なかったため、この噂の中にしか存在しない称号が全バストゥーク所属の冒険者たちの目標と
憧れになった。
だが、噂の中に唯一名前知られているゼフォンも3年前突然姿を消した、冒険者たちの間の噂では彼は死んだということになってた。
「英雄なき時代の英雄、凄い称号ね」
エンペラーは称号の主らしいの俺を見る。
「でしょう?噂では彼は死んでいるけど、まさかここで会えるとは」
「いや、それは人違いだよ。同じ名前の人だけだ、俺は冒険者じゃないし」
もう冒険者じゃないんだ、貰った称号なんか関係ない。俺は英雄なんかじゃない・・・そう呼ばれる資格はない
「え、そう?まあ・・・服装から見たら確かに冒険者じゃないみたいけど・・・」
俺の服装どう見ても戦闘に向いてない。制式礼服なんかブロンズハーネスにも及ばない防御力しかない。
「なんだ・・・違ったのか。やっと噂のパーティの人に会えたと思ったのに」
「やっぱりあのゼフォンは死んだんじゃない?3年も経ったのにまだ居場所分からないし」
「ああ〜、だぶんそうだろうな・・・」
「俺と同名の人が有名人じゃ、これから名乗る時は気をつけないとな」
「そうだね、間違ったら大変だな」
「でも、死人と同じ名前なんて、縁起悪いな・・・」
「おいおい、そんなこと言ったら、俺たちも同じだぞ。なぜなら昔絶対俺たちと同じ名前の人居たんだからな」
「そりゃそうか、そういえばそうだよな」
俺は死んでたのも事実だ・・・3年前のあの時、冒険者のゼフォンは確かにそこで死んだ。
横に居るエンペラーを見ると、彼は黙ったまま俺を見ていた。
目の前の冒険者たちは人違いと信じても、彼は信じるつもりはないという顔しているな。
「すまん、今日は先に休む」
仕方ない、なんか聞かれる前に退散するか。ここで真実聞かれたらこの冒険者たちの耳にも入りそうだ。
「・・・ゼフォン、午後の仕事は?」
「どうせお前はナンパするだけだろ、俺が居なくても同じだ」
「そりゃそうだけど・・・」
・・・っていうか、納得しないでちゃんと仕事しろっ
「んじゃな」
俺は飯の代金をテーブルの上に置き、酒場から出た。
「英雄なき時代の英雄・・・俺のような英雄になり損ねたもののことか・・・」
トスよ、俺が冒険者をやめなかったら、お前とまだ一緒に旅続いたら・・・お前は死ぬことなかったかな・・・
「はぁ・・・」
小さいなため息をして、頭を横に振る。
「自惚れるな・・・ゼフォン、お前は・・・誰も守られない。お前は・・・命を奪うしか出来ないんだ」
エンペラーはたぶんあの冒険者たちから色々聞くんだろ、冒険者のゼフォンに関して。
たぶん、トスが殺されたあの事件の詳しい内容も聞けるんじゃないか・・・
「どうせ明日また仕事に出ないと駄目だし、もしかしたら、彼からなにか分かるかもしれない」
トスの腕はこの3年間上がってるはず、修養の間で出来た差はもう存在しないと思う。ってことはもう俺引退する前のレベルまで
着いている、なのに倒された。ラテーヌでその程度の軍団は存在しなかったから、詳しく知った方がいいと、冒険者の勘が俺を警告してる。
30分ぐらい歩いて俺とレヤが住んでる家に着いた。
珍しく昼で家に帰り、レヤはきょとんとした目で迎えた。
「どうしたの?なにかあったの?」
「いや・・・ちょっと気分が悪くて」
「え!気分が悪い?大丈夫?病気?ああ、早く横になって、なんか薬飲む?それとも医者を呼ぶ?」
あちゃ・・・心配性のレヤに向けてこんな嘘は悪かったか。
「あ、いや、大丈夫だ。少し休めば良くなるから」
「・・・・・本当?」
「あ、ああ、本当だ」
「じぃぃぃぃぃぃぃぃ」
うあ、睨んでいる・・・しかも効果音付きだ
「だから大丈夫って・・・俺、ちょっと部屋に戻って休むよ」
「う、うん・・・ゼフォンがそう言うなら・・・」
俺は部屋に戻り、自分のベッドに飛び込んだ
パシャ
「パシャ?・・・・・・って」
冷たい・・・ってか、なぜ俺の布団は濡れている?
「・・・・・・・・・・・ぁ」
そういえば今朝レヤは俺を起こす時冷水を使ったな・・・
「ふぅ・・・今度から冷水使用を禁止・・・・効果的だけど、片付けが大変だ」
「はぁ・・・服も濡れたか。干すのが時間かかり過ぎるし・・・仕方ない」
立ち上がって、自分の手のひらを胸の20センチ前ぐらいに置き。
「最小出力・・・『ファイア』!」
ぽっ っと手のひらと服間に拳サイズの火球が現れた。魔力を注入しつづ、一瞬で消えるはずの炎を維持する。
「これで服を乾けばすぐだろ」
冒険者辞めて以来、初めて魔法を使った。無意識に冒険の間の癖を忘れて欲しかったからかもしれない。
レヤが料理を作る時、クリスタルを使うのを禁じたのもそうだったかもしれない。
「つッ」
何時の間に服はもう乾いた、これ以上焼くと服が燃やしちゃいそうだ。
ファイアを消し、レヤを探しに一階に降りる。
「レヤ、ちょっと良い?」
リビングに入ったら、ソファに座っているレヤの他に、もう1人の人影が居る。
「・・・・エンペラー」
早いな・・・もう話を聞きに来たか。
「よっ、邪魔しているよ」
レヤは少しおろおろしている。
「ゼフォン、エンペラーさんはあなたに話があるって。あなたは休んでいると言っても、起きるまで待つって」
「そっか・・・この様子だと、なんか聞きたいから来たんだな」
「まあねw」
「分かった、レヤ、悪いが、ちょっと席を外してくれないか?」
「ぇ?」
「いや、レヤちゃんも居る方が良い」
「エンペラー・・・お前・・・」
「俺の質問は・・・たぶんお前が考えている質問とは違うから」
ありゃ、俺がその噂の冒険者であるかどうかを確認するんじゃなかったのか?
「どういうこと?」
「俺が聞きたいのはお前の過去のことじゃないんだからな」
「違うのか?」
じゃ、なにを聞きに来た?
「ああ・・・」
「じゃ、なにを聞くつもりだ?」
「・・・・・・・・・・・お前、もう一度冒険者やるつもりはないか?」
「!!!!」
もう一度冒険者だと!?っていうか、もう俺がその噂の中の冒険者と確信してるのような顔だ。
「え!?」
レヤは驚いている、俺は昔冒険者だったこと、エンペラーは知らないはずだから。
「お前はなぜ冒険者をやめたか分からない・・・お前は・・・お前の事情があるらしいからな」
たぶん、この場で誤魔化しても信じないな・・・エンペラーの目、疑いなんかない。
「俺は・・・もう冒険者をやるつもりはない」
「そう答えると思った。だが、それでも聞いてみたいんだ、答えはすぐじゃなくてもいい」
「何時まで待っても答えは同じだ、俺は冒険者に戻るつもりはない」
「まあ、まだ答えは要らない、まずは俺の話を聞け」
エンペラーは鞄から1つの封筒を持ち出した。
「さっき俺の元にサンドリアからの使いが来てた」
「サンドリアから?」
「ああ、例のラテーヌの事件に関しての情報と・・・サンドリア王国からの命令書だ」
「!!」
「全滅されたパーティは・・・サンドリア所属ランク9のパーティだ、相当なエリート集団だった」
「・・・・・・」
「噂からじゃ、彼らは獣人の大部隊に襲われたことみたいですが・・・」
「が?まさか違うのか?」
「ああ、俺に届いた情報から見ると・・・彼らを襲ったものは・・・たぶんそう多くない」
「どういうこと?」
「もし大人数の敵なら、彼らの腕のことだ、全滅される前に相当な敵の数を倒せるはず。だが現場は違った、明らかに戦闘してたが
どう見ても負傷したのは・・・このパーティのメンバーたちだけだ」
たしかに、多いの敵集団と戦うなら。ヒット&ランか、一部寝かして、各別撃破が普通だ。
「敵の跡はなにも残ってない?」
「そう、血の跡も、落ちた武器も、足跡も、なにも・・・まるで・・・敵は無傷で彼らを倒したみたい」
「ランク9のパーティを無傷で・・・だと?血の跡がないならアンデットとかの可能性あるんでは?」
「確かにそれも考えたが、傷は刃物で出来たのだ」
「刃物・・・か、骨の場合は骨くずぐらい残るな」
「ああ、それに・・・もう1つの情報が一番気になる」
「今度はなんだ?」
「死体にある傷は・・・全部同じ武器で作ったものだ」
「!!」
「ど、どういうこと?」
「ゼフォンはそれの意味が分かるね・・・」
「ああ・・・」
「ゼフォン?それはどういう意味?」
「そのパーティを襲った敵の数は・・・1だ」
「ぇ!?」
「ああ、傷から見ると刃物のははっきりしているから、敵は獣人に違いないみたい。もし敵は部隊なら、全員同じ武器のはないと思う」
「獣人・・・これほどの腕ってことは王か?」
「いや、王が一人で出てくることはないだろう。それに、3国は獣人たちの本拠地を監視しているから、出てきたら気付くはず」
「ユタンガにあるサハギンの洞窟は違うんじゃない?海路だと、完全に監視出来るはずがない」
「それも違うみたい、情報によると、サハギンの王は事件の数日前海蛇に侵入した冒険者のパーティと交戦し、負傷したみたい」
「じゃ、いったい・・・」
「それが分からない・・・そして、サンドリア王国からの調査命令が下った」
「エンペラーに?」
「ああ、腕立つの冒険者を集めて調査しろって」
「・・・・それで俺に?」
「ああ、さっきの酒場の冒険者たちの話からすれば、お前は・・・昔相当な腕の冒険者だったな」
「昔の話だ、もう冒険者じゃない・・・」
「本当にそれでいいのか?」
「え?」
「この敵・・・お前の友の仇でもあるぞ」
「!!」
「え?友って?」
「まだ・・・レヤちゃんに言っていないのか?」
「・・・ああ」
「え・・・だ、誰のこと?」
レヤの体が固まった
「レヤが知らない人・・・俺がレヤと出会った前からの付き合いだ」
「そ、そう・・・」
「サンドリア王国からの命令はこの敵についての調査、追跡、そして抹殺。俺は・・・見つけるつもりだから、お前が仇討ちたければ
これが唯一のチャンスと思うぞ」
「・・・・・・・・・」
「まあ、ゆっくり考え、俺はこの命令で先にサンドリアに戻る、もしお前は来る気だったら・・・サンドリアに来い」
「・・・・・・・・・」
「もちろん・・・」
エンペラーの表情が突然普段のヘラヘラな微笑みに戻り
「考えすぎるとこっちが先に任務終了〜しちゃいそうだけどなw」
エンペラーはソファから立ち上がり玄関に歩く
「・・・・この1ヶ月間、楽しかったぜ。じゃな」
彼にも分かるんだろ、この敵は強い。今まで自分より強い敵を倒せたとしても、ランク9のパーティ相手に傷1つも負わずに全滅できる
ほどのは聞いたことなかった。この命令、もしかしたら最後の命令になるかもしれない。
「ねぇ・・・ゼフォン」
「え・・・・な、なに?」
「・・・・・・行くの?」
「俺は・・・・」
「・・・・・・・・・」
レヤは黙ったまま俺の答えを待つ
「ああ・・・俺は・・・行くよ」
「!!」
「俺は行かなきゃ」
「なんで!?あなたはもう戦う必要ないじゃない!」
「・・・・あるんだ、戦う必要が」
「ないよ!あの時あなたが言ってたじゃない、あなたの戦いはもう終わったって」
3年前のあの時・・・俺はたしかにそう言ったが。
「もう・・・・誰にも死なせたくないんだ」
「!!」
「3年前・・・俺は俺の仲間たちを救えなかった。今度はトスが死んだ・・・」
もう・・・誰も死なせたくない
「俺は・・・エンペラーを死なせるつもりはない」
「・・・・・・・」
「微力かもしれないが、彼が生き残る可能性を高めたいんだ」
「・・・・・・・・私」
「ん?」
「・・・・私も行く」
「駄目だ!」
なんでそんな馬鹿なことを言う!?
思わず声を上げる。レヤは負けずにキッと睨んでくる。
「なんで!?」
「今度の事件はお前の手じゃ負えない」
「そんなことない、私も一緒に行く!」
「駄目だ!お前はここに居ろ!」
「なんで?なんで付いていけない?足手まといにならないから。お願い、私を連れてって」
「駄目だ・・・」
「なんで!?私が一緒に居るのはそんなに迷惑!?」
「違う!そうじゃない!」
「じゃ、どうして!?」
「俺は・・・・・お前を失いたくないんだけだ」
「ぇ・・・」
「お前まで失ったら、俺は・・・」
「ゼフォン・・・」
「俺はもう自分の周りの誰かが死ぬの・・・耐えられないんだ」
「・・・・」
3年前のあの忌々しい事件で・・・俺は仲間たちを救えなかった・・・
「分かってくれ・・・」
「だめ、私はあなたと一緒に行く!」
「レヤ!?」
「だって・・・だって」
レヤの目から涙がボロボロっと溢れてきた
「だって、ここで分かれたら・・・もう会えないみたいで怖いもん!」
「っ!」
「私は強い冒険者じゃないかもしれないけど、今度の敵はどんなに強いぐらいは分かるもん!」
「だからお前には危険すぎr・・」
「ゼフォンにだって同じじゃない!?」
「!!」
「もしゼフォンが帰ってこないなら・・・私」
「お、俺は・・・」
「あなたは絶対無事に帰ってこれるなんて言い切れる?絶対無事に戻ってこれるの自信ある!?」
「・・・」
嘘を言えば良いのに・・・俺はそれが出来なかった。
「私はなにがあっても付いていきます!目的地はサンドリアと分かるし、ゼフォンが私を置いて行っても、私は追いって行く」
こりゃ・・・俺の負けか。
涙目のレヤに勝てないのは以前からのことだけど。
「はあ・・・仕方ない、連れて行けばいいでしょう?」
「本当!?」
「でも、例の敵を見付けたとき・・・お前はサンドリアで待てろ」
「ぇ」
「今度の敵は強い、俺はお前を守りながら戦う自信ないんだ」
「・・・うん、分かった」
「・・・調査途中も同じだ、危なくなったらちゃんと逃げろ」
「・・・うん」
レヤの頭に手を置き、優しく撫でる。
何があっても・・・お前だけ死なせない、お前だけは・・・絶対護り抜いてみせる。
こうして・・・
俺は再び冒険者になった。
普段なら数日掛かるはずの手続きも意外に早く、1日で終わった。
どうやら、上からの命令ですぐ俺の身分を復活させたらしい。
「大統領はあなたの復帰を期待してた、もう一度我が国バストゥーク共和国のために頑張ってくれ」
っと、鋼鉄銃士のアイアンイーターに言われた。
3日後
バストゥーク鉱山区
レヤは飛空艇パスがないんで、飛空艇でサンドリアまで行くのは無理。なら残りの手段はチョコボで行くしかない。
もちろん、歩いて行くのは論外だ。時間掛かりすぎる上に、疲れる。
「この日が来ると思わなかったしな・・・・」
この数日は旅の準備をしながら、必要なものを集めようとしたが・・・バストゥークでは良い装備手に入れない。
昔俺が使ってた装備は全部3年前ジュノで俺を治療したあの病院に置いてきた。今頃はもう捨てられたか、売られたんだろうな。
「ん〜一応後でジュノに行ってみるか・・・そこで装備調達出来るかも」
それしかないか・・・サンドリアで良い装備手に入れると思わないし。レヤと一緒にサンドリアに着いた後、そこから飛空艇でジュノに
行く方が効率的かな。
丸腰で旅するのは流石に心細い、片手剣ぐらいは持っていかないと。
冒険者やってた頃、鍛冶を少しかじったため、ある程度の物なら自作出来る。
大工房でハンティングソードを一本作って、サンドリアまでの間には十分のはず。
防具もあった方がいいが、今のところは必要ないと思う。
当たられそうになっても、空蝉の術で敵の攻撃を回避出来る。
昔ノーグで忍者の修行も少しこなして来たため、忍術は使える。だが基本から学んだものじゃないから、忍術に消費する忍具の
作り方は知らない。仕方なく、3年ぶりに競売所を覗いてみた。
「・・・物価高くなり過ぎ」
なんだこりゃ・・・紙兵は昔の2倍の値で売ってる。どうやら俺がいないこの3年間、物価結構変わったな。
などを考えながら競売所から出る。
「ゼフォン〜チョコボ用意したよ〜」
レヤの声が聞こえる。周りを見たら、レヤはチョコボ乗り場前の広場に立ってて、こっちに向いて手をブンブン振っている
「ったく、落ち着きがない子だ・・・・って」
ふと思い出した・・・
1.ここはバストゥーク共和国
2.ここは競売所前
3.周りに冒険者ばかり
ゆっくりと周りを見ると・・・・
げっ、注目されている・・・
名前ではなく、称号が有名だから、素直に喜べないな・・・っていうか、実際喜んでいない。
ヒソヒソ、ヒソヒソ
周りの冒険者たちは騒ぎ始めた。
「・・・・・・・あはは」
「あの・・・あなたはもしかして・・・」
一人の冒険者が声をかけてくる。
こうなったら・・・
逃げる!
俺はチョコボ乗り場に向けて全速で駆け出す
「お、おい!丁度待ってくれ」
と後ろから俺を止めようとする声が聞こえてくる
「レヤ、チョコボを出せ!」
「え?」
レヤの首が少し傾げる。
「出発するぞ」
「ぇ、え?」
レヤの横を通過した瞬間彼女の手を引き、そのままチョコボの前まで引っ張る。
「では、行くぞ」
「え?もう?って、ちょうど、ゼフォンってば。待ってって、ちょうど!」
チョコボを乗り、風を感じながら駆けつける。自分のチョコボの足音の他に、後方からレヤのチョコボの足音と声も伝えてくる。
「もう〜いきなりなによ!ゼフォンってば〜〜」
これは俺が一度捨てた道・・・俺が一度死んだ道。なのに俺は結局またこの道に戻ってきた。
(後書き)
妄想を暴走させながら書いたものだから、もし誤字と文法の間違いとか出たら許せ。
ここに出るレヤ(Reya)は俺の倉庫キャラの一人、時々暇つぶしで育ってたから、
一応レベルは25になっている。顔は猫さんと同じですが、髪の毛は金色。
んでこの中に出たトスっていう人は実際にカーバンクルに居るキャラで・・・
物語通り俺の友人だ・・・彼がこの小説読んだらたぶん 縁起の悪い!!
とか怒られそうが、どうせ一番長い付き合いだから、彼の名前を借りてみた。
正直文才ないんで、終わりはどうやって書けばいいか分からず。なんか自分でも
納得出来ないまま終わった・・・今第二章を書き始まっているところが・・・
登場するキャラたちの言葉使いに苦労している・・・
みんなと実際にFF内での会話が少なかったから、今のところはこつぶさんとマリエルの
小説内のみんなのしゃべり方を参考している。
6月末〜7月辺りでFF復活出来そうだから、実際にFF内でみんなに会ってみたいな〜
と思ってる。
最後に・・・エンペラーさんを格好よく書き過ぎとかの突っ込みは喜んで受けます!
実際自分もキャラ違過ぎと思っちゃったが、もう書き終わったから仕方ない・・・
なので、第二章からエンペラーというキャラのイメージを破壊し尽して見よう!(ぇ)
Mariel > すっごいのぅ・・・自分のよりかなり面白いw 続き期待してるにょ〜♪ (06/26 08:23)
Kotsubu > 気になるですね、楽しみだ〜♪うぷぷ( ̄m ̄〃) (06/26 17:00)
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